書評:スラムダンク勝利学 著:辻秀一

私は現在35歳なのですが、その世代であれば一度は聞いたことのある漫画『スラムダンク』。
読んだことある!あるいはめっちゃ好き!って人は多いんじゃないでしょうか?
中学の部活で『スラムダンクを読んでバスケットボールをしたくて入部しました』って人がたくさんいました!!たいていの人は夏休みで辞めていきましたが・・・
当時、国民的ヒットとなっていた『スラムダンク』をスポーツ心理学から分析をした書籍・・・
それが『スラムダンク勝利学』です。
著者の辻秀一氏は元々スポーツドクターをしていた先生で、スラムダンクが大好きで『ただの漫画ではなく人生の哲学書』と感じていたようです。
そんな中スラムダンクの作者の井上雄彦氏と会話するきっかけがあり『スラムダンク勝利学』を執筆することになったみたいです。
スラムダンクが好きで本まで書いてしまうとは・・・

『スラムダンク勝利学』のテーマはずばり『勝利』

ただしこの場合の勝利とは『勝ち負け』の勝利ではありません。
試合で相手に勝つことだけが勝利であったら、優勝者以外はパフォーマンスを発揮できなかった・自分の力を出し切れなかった・次につながる気づきはなかったということになります。
実際はそうではなくて『自身が決めた目標を達成できて、次につながる気づきがあればそれで勝利』なんだということです。

どんなことが書いてあるのか

『勝利』を手にする為にスラムダンクの名シーンの回想とともに、スポーツ心理学のエッセンスを交えて説明をしてくれます。
全26章の構成になっており、どの場面も『あぁ懐かしい』という感じがします。
例えば、第6章『今に生きる』では山王工業との試合中に主人公の桜木花道は選手生命に関わるかもしれない程の痛みを背中に感じます。
その時監督やマネージャーから『まだ先がある選手だから・・・試合にでるな』など言われ説得をされますが『オヤジの栄光時代はいつだよ…全日本の時か?俺は…俺は今なんだよ!』と言ってコートに戻ります。

このシーンから『今に生きることに全力を尽くせ』と書いています。
ほとんどの人が過去と未来ことばかり考えいて、『今』をおろそかにしています。
そして統計をとると『今』以外を考えている時のほとんどはネガティブな考えをしているそうです。
例えば、過去:『あのBULLがトリプルが入っていればなぁ・・・』や未来:『入らなかったらどうしよう・・・』などです。
厄介なのは、人の脳は時間を認識することができないんです。
なので過去・未来に関わらず、ネガティブなイメージをすると『今に』余計な考えが入ってきます。
そんなことよりも『今に生きて』『今にだけ集中する』という考え方が重要なんだと。
・・・とこのような感じで名場面+スポーツ心理学を使った解説という面白い構成になっています。

まとめ

元々好きな漫画の一つである『スラムダンク』を題材にしている為『懐かしい~』と思いつつ、非常に頭に入ってきやすいです。
スラムダンク好きな方はぜひ読んでみてください。
メンタル鍛えたいけど何すればいいか分からないって人におすすめです。
それにしてもまた全巻読みたくなってきた・・・